健康保険の「高額療養費」を利用すると、自己負担額を抑えることができます。

月収が53万円未満の人の場合、
負担額 = 80,100+(かかった医療費-267,000円)×1%

これによると、月に100万円の医療費がかかるケースでも、自己負担額は9万円弱になります。

薬の服用が必要になったなどで、この支払いが長期に渡る場合、「多数回該当」という制度が適用され、さらに負担額を低く抑えることができます。
これは、4回目以降から負担額の上限がさらに低くなるというもので、高額療養費制度が適用された月が3回以上あった場合、4ヶ月目からは多数回該当が適用され、負担額の上限が44,000円になります。

薬については、長期処方で処方回数を減らすのが得

高額療養費制度を利用する場合、1回に負担する金額が固定されているので、毎月薬を処方してもらうよりは数ヶ月分をまとめて処方してもらった方が得になります。

月30万円の薬代がかかるケースを想定して年間の負担額を計算してみます。
高額療養費制度が適用され、月の負担額は、80,430円になります。

<毎月処方された場合>
80,430円×3ヶ月+44,000円×9ヶ月=636,300円

<年4回処方された場合>
80,430円×3ヶ月+44,000円×1ヶ月=285,290円

4回目以降は多数回該当が適用されるために負担額が低くなりますが、それにかかわらず、回数を減らした方が負担額も低くなることがわかると思います。

長期処方については、医師と相談する

処方回数を減らすためには薬の長期処方を受けることになりますが、これについては医師と相談する必要があります。
病状は安定しているか、副作用は出ていないか、きちんと飲んでいるか、などを考慮して処方するため、通常の処方期間は2週間とされていますが、医師の判断でこれを3ヶ月まで延ばすことができます。

高額療養費制度が適用されたとしても薬代は患者にとって大きな負担であることには違いありません。
長期処方が可能であれば、薬代を抑えることができる場合が少なくないのです。
比較的短期での経過観察が必要と判断されても、通院する度に薬の処方を受ける必要がない場合もあるので、医師に相談してみるといいと思います。