自由診療とは、保険が適用されない診療のことで、治療費は全額が患者の自己負担となります。
自由診療の場合、治療費は医療機関で独自に決めることができるため、だいたいの相場はあるものの、かかる料金については医療機関によってまちまちです。
馴染みの深い自由診療としては、インフルエンザの予防注射、銀歯以外を利用した歯の治療、健康診断、人間ドッグなどがあります。

保険診療では、厚生労働省が決めたルールに従って検査・診断・治療を行います。
その際使用される材料や治療方法、あるいは治療回数や期間なども、全てにわたって細かく規定されており、その規定で認められた範囲内で行わなければ保険診療とは認められません。
これに対し、保険制度の枠にとらわれない診療が自由診療となります。

保険診療と自由診療を組み合わせる混合診療がごく一部の例外を除いて禁じられているため、一部に保険適用外の診療があると、全体が自由診療であるとみなされてしまいます。

自由診療=贅沢な診療なのか?

「自由診療=贅沢な診療」と短絡的に考えてしまう人も少なくないかと思いますが、実はそう簡単にはいえない状況があります。

日々進歩している医療を有効に活用するためには、医療保険制度もそれに追従して見直していく必要があります。
でなければ、せっかく有効な新しい治療方法があるのに、それが保険適用でないために、患者の中には経済的な事情で有効な治療を利用できない人が出てしまうからです。

ところが、現実には、安全性の確認など、医療保険制度の見直しには非常に時間がかかることもあって、医療の目覚ましい進歩にはとても追従できないため、ガン治療などにおける抗癌剤など高額な治療費に苦しむ人が後をたちません。

また、一部分野では戦後あたりの時期から全く見直されていない項目も存在します。
たとえば、歯科における銀歯による治療は、銀による金属アレルギーなど健康被害が指摘されているにもかかわらず、いまだに銀歯以上のものは保険適用外となっています。

自由診療の中には、保険適用にしてしまうと医療財政を圧迫してしまう可能性の高いものもあるため、簡単には保険適用には踏み切れないという政策的な事情もあるでしょう。
したがって、自由診療は贅沢な診療とはいえず、必要とされる診療の多くが自由診療になったままの状態、という現状になっています。