医療費の包括払い方式としては、DPC(診断群分類別包括評価)が一般的で、これは従来どおり出来高によって算定する診療行為を残した上で、多くの診療行為を包括評価によって算定することとし、包括評価部分と出来高部分の両者を合計して全体の医療費を算出する方式です。

診療報酬額包括評価部分出来高部分

<包括評価部分>
2300種類以上の病名と診療の組合せに対して、それぞれ1日あたりの診療報酬が設定されており、入院基本料、検査(内視鏡検査、心臓カテーテル検査以外)、画像診断、投薬、注射、処置(1000点未満)、病理標本作製料がこれに該当します。
この包括評価部分については次式で算定します。

包括評価部分=診断群分類ごとの1日あたり点数×医療機関別係数×在院日数

<出来高部分>
手術、麻酔、放射線治療、医学管理、リハビリテーション、精神科療法、病理診断・判断料、処置(1000点以上)、内視鏡検査、心臓カテーテル検査等が該当します。

この他、DPCでは、在院日数に応じて3段階の点数に分けられており、在院日数が多くなると点数が段階的に引き下げられる仕組みになっています。
出来高払い方式のように、在院日数を延ばすことによる病院側の収入増はなくなることになります。

2003年度から大学病院や国立ガンセンターなど特定機能病院を対象に入院医療費の包括払い方式として、DPCが試行され、その後全国の病院で導入が進められています。
医療の標準化を促進することによって、他の病院との比較も可能になり、在院期間を短くする効果が期待されるなど、大きくは、増加の一途をたどる国民医療費の削減をめざす制度となっています。

DPCを導入した場合、1日あたりの診療報酬が決められている包括評価部分においては、無駄を省くことによって効率性を高め、出来高払い部分においては、基本となる点数が高い期間内で効果的な治療を行って、早く患者を退院させようという努力がなされることが期待されます。