食の欧米化、高齢化社会の到来により、心筋梗塞・脳梗塞や糖尿病などの生活習慣病は増加の一途をたどり、国民医療費の増大につながっています。
この状況を打開するために、予防医療が注目され、「特定検診・特定保健指導」が2008年4月より開始されました
特定検診・特定保健指導は、40歳~74歳までの公的医療保険加入者全員を対象とした保健制度で「メタボ健診」とも呼ばれており、心筋梗塞・脳梗塞・糖尿病などの深刻な病気を自覚症状のあまりないメタボ段階で予防しようというものです。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは、内臓に蓄積した脂肪により、高血糖、高血圧、高脂質の状態に陥り、心筋梗塞・脳梗塞の原因となる動脈硬化などが進行している状態をいいます。

<メタボの判定基準>
腹囲測定で男性85cm以上、女性90cm以上の場合、血圧、血糖値、血中脂質の中の2つ以上が基準値を超える場合にメタボと判定され、保健師などから、生活習慣の改善指導をされます。

<保険者の義務>
保険者は40歳~74歳までの保険加入者にメタボ検診を受けさせることが義務づけられており、受診率はもとより、保健指導の実施率にも厳しい基準が設けられています。
基準を下回った保険者には助成金の削減等の罰則が科せられるため、加入者に対して受診をアピールするようになりました。

生活習慣病の減少が国民医療費の抑制につながるのは確かなことだと思われます。
この制度がきっかけとなり、医療制度全般において予防医療が重視される傾向になったのはいいことですが、ガン予防ワクチンの副作用問題などまだまだ試行錯誤の段階で、解決すべき多くの問題があることも確かです。
医療費抑制は重要課題ですが、同時に国民一人一人の立場に立ち、医療保険制度と連携した予防医療の進歩が期待されます。