混合診療を全面的に認めた場合、全ての療養において、保険が適用される部分は保険を利用し、保険提供外の部分は自己負担にすることが可能になります。
このことに関する問題には様々な複雑な要素がありますが、大きくは医療格差の問題と安全性の問題になります。
医療格差の問題
現在でも、経済的に余裕のある層は自由診療で希望する医療を受けられる一方、混合診療が禁止されているため保険内診療しか受けられないという人たちが存在します。
したがって、混合診療が禁止されている場合、薬を売る側からすると、薬を使ってもらうためにはその薬を保険適用にすることがほぼ必須です。
保険適用外の薬を処方すると、その他の保険が適用される診療まで全て患者の自己負担になってしまうからです。
ところが、混合診療が解禁になった場合、保険適用外の薬のみ自己負担で、保険が適用される診療には保険を利用する併用が可能になります。
つまり、その薬においては、時間も費用もかかる保険適用を目指す必要性があまりなくなるということになります。
保険適用を受ける必要性が小さいものとなれば、全ての薬や診療において、保険適用診療が縮小していくのではないかと危惧する向きがあります。
こうなった場合、経済的に余裕のある人は変わらずに希望どおりの医療を受けられる反面、保険適用診療が縮小することによって、経済的に余裕のない人は受けられる医療の選択肢が狭められる状態になり、これによって医療格差が生まれるということになります。
安全性の問題
保険適用外の薬が増えることによる安全性の問題は当然起こることになります。
保険適用外の薬の使用を混合診療として認めれば、その薬に問題があった場合、結果的にその薬の使用を促進することになり、重大な健康被害等が全国に拡大する恐れがあります。