政府は、混合診療の対象を2015年度から拡大するとの方針を示しました。
混合診療の拡大によって、患者の選択肢を増やすとともに、医療技術の革新を促すとのことです。
厚生労働省が決めた混合診療拡大案としては次の3つがあります。

1.保険外併用療養制度の対象を拡充する。
現在は、重粒子線治療や遺伝子診断など一部の医療が保険外併用療養制度として混合診療を認められていますが、再生医療や新しい技術を使った医療機器などを専門の評価組織を立ち上げた上で14年度中にこの制度の対象に加えることを検討します。

2.他に治療手段のない患者が未承認の薬を混合診療で使えるようにする。
現在のところ、未承認薬は薬の有効性を調べる治験でのみ混合診療が認められていますが、治験は年齢などに制限があり、対象に入れない人が少なくありません。
治験対象外の患者が未承認薬を使用する場合、保険診療部分も含めて全額を自己負担しなくてはならない状態となっています。
保険対象外の患者まで含めた全ての患者が未承認薬を保険診療と併用できるようにすることを検討します。

3.治療効果があっても費用が高額すぎる新薬・医療技術を保険適用から外す。
高額な部分は自己負担となっても保険診療については保険が適用されるため、患者の負担は増えますが、混合診療を認めることによってその負担増を抑制することができます。
高額な医療を保険適用外にすることによって、医療費の抑制につなげるという意図があります。

これらは、指定した医療機関で混合診療を受けることを想定しています。
これに対して、政府の規制改革会議では、患者と医師が合意すれば、より幅広い医療機関で混合診療を受けられる「選択療養」制度の新設を提唱しています。
厚生労働省はこの案に対しては否定的であり、あくまでも指定医療機関での診療に限定したい考えです。
したがって、混合診療の行方については、なお調整が続いており、今後の動向が注目されています。