高額療養費制度は、医療費の自己負担額が高額になった時に適用される制度です。
この制度は、1人の患者が1つの医療機関に支払った一部負担金が80,100円を超えた場合、負担額は80,100円に、267,000円を超えた分の1%を加算した金額になるというものです。

つまり、病院に請求された金額が80,100円までは自己負担になりますが、それを超えて267,000円までの場合、支払う額は80,100円に固定され、267,000円を超えた場合に超えた分の1%を80,100円に足して払うということになります。
たとえば、負担額が40万円の場合の自己負担額は次のとおりです。

80,100+(400,000-267,000)×0.01=81,430円

この場合、いったん医療機関の窓口で40万円を支払い、後日、318,570円が払い戻される仕組みになっています。
通常、支払ってから払い戻されるまでに3ヵ月ほどかかります。
窓口で支払う時にこの制度が適用されるのではないので、注意が必要です。

標準報酬月額が53万円以上の上位所得者になると、一部負担金が150,000円を超えた場合に適用され、150,000円に、500,000円を超えた分の1%が加算されます。

請求手続きは必要?

大手企業の保健組合や共済組合などの多数の保険者においては、レセプトから自動的に高額療養費を算出するシステムが導入されており、患者がいちいち保険者に請求する必要はないのが一般的です。

国民健康保険の場合、管轄する市町村によっても違いますが、高額療養費制度に該当する場合、ハガキなどで通知があり、担当課に出向いて請求するケースが多いようです。
詳しくは、加入している健康保険組合に、請求手続きが必要かどうかなどを聞いておく必要があります。

70歳以上の場合の負担額

70~74歳になると、1ヵ月あたりの自己負担額はさらに軽くなります。
外来の場合には、個人ごとに自己負担額を計算し、12,000円を超えた分は請求することによって全額が戻って来ます。
入院の場合、44,000円を超えた分は支払う必要がありません。

標準報酬月額が53万円以上の現役並み所得者の場合、外来の場合は44,400円を超えた分が戻り、入院時の負担額が80,100円を超えた場合、80,100円に、267,000円を超えた分の1%を加算した金額が戻って来ます。

高額療養費制度が適用されないもの

次のようなものには高額療養費制度が適用されません。
1.入院時の食事療養費の自己負担金
2.差額ベッド代
3.選定療養費・評価療養における自己負担分
4.歯科の自由診療分
5.その他、保険が適用されない診療等